映画

タロウのバカ

上映日程
11/ 4(月祝)
 ~11/17(日)

(C)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会
2019年製作/119分/R15+/日本
公式サイト 公式twitter
 思春期のまっただ中を生きる主人公の少年タロウには名前がない。彼は「名前がない奴はタロウだ」という理由でそう呼ばれているだけで、戸籍すらなく、一度も学校に通ったことがない。そんな“何者でもない”存在であるタロウには、エージ、スギオという高校生の仲間がいる。大きな川が流れ、頭上を高速道路が走り、空虚なほどだだっ広い空き地や河川敷がある町を、3人はあてどなく走り回り、その奔放な日々に自由を感じている。しかし、偶然にも一丁の拳銃を手に入れたことをきっかけに、それまで目を背けていた過酷な現実に向き合うことを余儀なくされた彼らは、得体の知れない死の影に取り憑かれていく。やがてエージとスギオが身も心もボロボロに疲弊していくなか、誰にも愛されたことがなく、“好き”という言葉の意味さえ知らなかったタロウの内に未知なる感情が芽生え始める……。

 社会のルールや道徳を学んだことがなく、常に本能に駆り立てられるままに行動するタロウは、これまで大森監督が描いてきたアウトサイダーたちと比べても破天荒で常識破りのキャラクターだ。叫ぶことで感情を発露し、暴力や盗みを犯すことにも一切の躊躇がないその有り様は獰猛な野生動物のようであり、無垢な天使のようでもある。一方、高校生のエージ、スギオはそれぞれやるせない悩みを抱えているが、なぜかタロウとつるんでいるときは心を解き放たれる。大森監督はそんな理屈を超えた絆で結ばれた3人の行き先不明の疾走を、甘ったるい感傷を排した荒々しいカメラワークで捉え、はかなくも眩い“生”を映し出す。しかし、あまりにも危ういタロウらの行く手には深い闇が待ち受け、画面には息苦しいほどの“死”の匂いが立ちこめる。まさしくこれは生と死の狭間を駆け抜け、刹那的なきらめきを放つ異色の青春映画なのだ。

 そして全編が寓話のようでいて、フィクションであることを忘れさせるほどの生々しいリアリティーとスリルがみなぎる映像世界は、社会的な弱者の排除、育児放棄といった今の日本の理不尽な現実をも取り込んでいる。その虚ろに壊れゆく世界のどこに希望はあるのか。そんな根源的な問題提起を鋭くもダイナミックに突きつけてくる大森監督、渾身の一作である。

「BRUTUS (ブルータス)映画監督論」

2010年|マガジンハウス
必ず影響を受けた作品がある…映画監督が愛する映画監督。石井裕也、大森立嗣、金子修介、熊切和嘉、黒沢清、小林聖太郎、是枝裕和、阪本順治、清水崇、鈴木卓爾、諏訪敦彦、タナダユキ、塚本晋也、山下敦弘…。

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